「かねもうかるの伝授」

「どうすればお金持ちになれるのか-」
古今東西、人々のテーマですね。
今日は江戸時代の心学者、脇坂義堂という人の書いた「かねもうかるの伝授」を紹介します。50以上あるといわれる彼の通俗教訓書のひとつで、「かねもうかる」方法を教えてくれるという翁(じいさん)と村人との対話です。
村人「私の村の者どもは、金儲けと出世が三度のメシより好きで、誰一人それが嫌いな者はおりません。」
「好きこそものの上手なれというが、金儲けが好きで望みどうりになるなら苦労はしない。昔、オランダにいたころ“カネモウカル”という名の薬があったが次第に買う人が減って、これを売る家は衰えている。一方、この隣には“カネノウナル”という薬を売る家があるが、これは日々繁盛して行列まででる有様じゃ。」
村人「“カネモウカル”がなぜ売れないのですか?」
「わしも不思議に思って訊いて見たのじゃ、“カネモウカル”を売っている主人いわく
『ウチの薬は効果バツグンだが、苦くて飲みにくいのと、処方上の注意が大変で誰も服用しようとしないんです。一子相伝の秘密だがその成分をお教えしましょう。まず、調合するのは
倹約・堪忍・家業出精・正直・知足・誠意・この6味が主成分、これに柔和・謙遜・度量・聡明の4味を加え、最後に慈悲の1かけらを入れて煎じているのです。飲み方は常に人の道を守り、よく飲み込んで腹に収める事が肝要です。
ついでに、隣の“カネノウナル”の調合法もお教えしましょう。
美食・色欲・遊芸・散財・見栄・強情・勝負・相場・喧嘩・口論・家内不和・諫言嫌い・身勝手・不誠実・無慈悲・よこしま・残虐・虚言を酒に漬け、無分別・不養生・短気・無法・堕弱・不算用を加えたものなんです….』

“カネモウカル”は飲んでみたいとは思っても、本音はこんな薬味は好きではないし、窮屈に思うに違いあるまい。」
、、、最後にドキリとするようなことを言っております。^_^;