弁護過誤

「弁護士に依頼しているのだが、どうも頼りにならないんです ・・・」

そう言って事務所に来られたHさん。
これで2度目の相談です。
Hさん、兄弟から遺産分割調停を起こされており、代理人として弁護士を付けました。
相手方の姉はHさんが受取人として指定されている生命保険まで
「それも相続財産だろう、半分よこせ」と無茶な要求をしているのです。
生命保険金は受取人固有のもので相続財産ではありません。
私はそう説明し、Hさんは弁護士にもそう伝えたのですが、弁護士は
「絶対そうとは言い切れない。これも相続財産に入れて相手の要求を検討すべき」
との信じがたい答え。
やっぱりこの弁護士はおかしいと感じ、再度私のところへ来られたのでした。
私の回答は変わりませんし、税理士の見解も同じ。
Hさん安心し、こうおっしゃいました。

「なぜ、同じ法律家でこうも答えが違うのか?
国家試験をパスしているのに、なぜこれほど差があるのか?
私はみなさん同じ知識をお持ちだと思っていた。
でも私は素人だから、先生方の力量なんか見抜けない。
弁護士に委任している手前、他の先生には聞きづらかったが、長谷川先生に相談に来て良かった。
説明が分りやすかったし信頼できると思ったので、もう一度来たんです。
私は
『医者でも評判のいいところと悪いところがありますよね。
あれと同じです。
なんかおかしいと思ったら、すぐ別の専門家の意見を仰ぐべきです。
弁護士といってもピンキリ。
自分に知識がないことに気づいてもいない人がいるんです。』
と答えました。
弁護士の言うことを聞いていれば、Hさんは500万円ものお金を失うところでした。
この弁護士、アホにもほどがあります。
基礎知識すらない。
自分の無知にも気付いてないから、調べようともしない。
最悪のケースです。
こういう事案を「弁護過誤」といいます。
弁護士のミス、怠慢のことです。
まったく・・・これで弁護士の尻拭いは何度目だろう?
ため息がでます・・・。