裁判員日記.3

本日も裁判員に任命されてしまったお友達の経験談の続きです。

私は司法書士なんで裁判員に任命される事はありませんので、一生体験できない世界なんです。
たまたま友達が任命されたからこそ聞ける話で、とても貴重な話だと思って聞いています。
以下の通りです。

3日目までで証人尋問が終了し、いよいよ、判決に必要な証拠(証言)は出揃いました。 

ちなみに、裁判での判決は、すべて証拠に基づいて行われます。 

これは、例えば、有罪・無罪を決める場合に、有罪である事を証拠により証明する事ができない場合は、どんなに黒に近い灰色でも、それは無罪になると言う事です。 

よって、これらの証拠を評議の中で吟味して、有罪・無罪から、罪状(何の罪か)が決定され、その罪状に基づく範囲の中から量刑(懲役何年とか)が決定されます。 

ずっと伏せてきましたが、今回の裁判における起訴罪状は、監禁・強盗致傷、及び窃盗というものでした。 

前にも書いたかもしれませんが、裁判員裁判の対象となる犯罪は、その量刑に『無期懲役』が存在するものとなります。 

ですので、軽犯罪や、単なる窃盗と言う犯罪は、その対象にはなりません。 

また、今回の場合、被告は傷害は認めているものの、強盗致傷に関しては否認していたので、本当に強盗致傷なのか、それとも、過失や単なる傷害なのかを白黒つけるところから始まりました。 

結果は黒になったのですが、これが白だった場合は、もしかしたら3年以内の懲役となり、執行猶予が付く可能性も残されていますので、大きく量刑が変わってくる為、本当に大切な判断のひとつになります。 

感想なのですが、ちょうどいま、イギリス人女性殺人事件の公判が行われていますが、不謹慎かもしれませんが、今回、担当した事件は人が亡くなっていなくて、本当に良かったと感じています。 

今回、経験した中で、暴行を受けられた被害者の方の傷の様子や、監禁されている状態の証言、そして、事件後、1年近く経過しているのに、まだ精神的な後遺症が残っている事、などを考えても、それはそれは痛ましい事件で、決して許されるものでは無いと強く感じたものですから、殺人事件となると、本当に想像ができないくらいの感情の抑制と、正確な証拠・証言の理解力、分析力、そしてそれらを踏まえて、正しい判断力が、裁判員には求められると思います。 

そうえいば、裁判の途中で、裁判所の職員の方から、メンタルケアの紹介パンフレットを頂きました。 

これは、裁判を通じて得たものや経験が原因で、裁判員の方が、なんらしかの精神不安や疾患になった場合、これを保障、ケアしてくれるというものです。 

元々、裁判員制度そのものに関しても、一般市民にそこまで重圧をかけても良いのか、という意見がありましたが、すでに制度が実施されている中であっても、今後、その問題は改善の為、検討されていくものだと思います。 

実際、裁判後にいろんなアンケートを書く事になったので、少なくとも、我々の意見や改善点は、今後の制度に影響を与えていく事でしょう。