この遺言書は無効?.3

(銀行に預金解約を断られたAさんは事務所に相談に来られ、家裁で遺言書の検認を受けることになりました。)

遺言書だけでは、本人が本当に書いたものかどうか分かりませんよね。

そして破棄されたり隠したりされた場合、本当に遺言があったのかどうかさえ定かでなくなります。
こういう事態を防ぐためにする手続きが「検認」です。
具体的には家庭裁判所に申し立てると、裁判所が相続人全員を呼び出します。
そして、筆跡について本当に遺言者のものかどうかを確認したあと、遺言書の存在を証明する手続きをしてくれます。
これで、遺言書が紛失しても大丈夫。
家裁に行けばいつでも遺言書の存在を明らかにしてもらえます。
裁判所に全員集合。
Aさんはここで初めて、腹違いのイトコCさんに出会ったのでした。
検認は無事終了。
40年前に父と生き別れたCさんは、父が死亡していたことを裁判所からの呼び出しで初めて知ったそうです。
どんな気持ちだったんでしょうね。
Cさんは当時まだ小さかったAさんを覚えていたそうです。
そして、「父のお墓参りだけ行かせて欲しい。」とおっしゃり、相続権は全て放棄されました。
Aさんは無事、銀行の解約手続きをできたようです。