上には上がいる.2

 (続き)

「上には上がいるんだよ、三澤君」
そう言われた三澤社長、こたつから飛び出して土下座したそうです。
『伊藤氏は怒りはしなかったが、若造が天下を取った気になってるんじゃない。
と、諭してくれたんじゃないでしょうか?』
と語っておられました。
私はこの話を聞いて、伊藤氏ではなく、即、土下座をした三澤さんの行動に感心してしまったのです。
できますかね普通?

三澤氏の立場に立った時、私は人の反応は次の4パターンになると思います。
1.「そうですね、いい気になってたらだめですよね。私も気をつけます。」
これは『自分のことをやんわり言われているのだな』、と悟っている。
そのうえで、あなたの意図は伝わりました、と礼をいっている。
→普通はこれが最上でしょう。
2、なるほど・・・と、黙ってうなずく。
『もしかして、自分のことを言われてるのかな?』
と思いつつも、どう返していいか分らず、相手が大先輩なんで硬直してしまう。
→一番多いのがこれではないでしょうか。
3.「へ~!大した猫もいたもんですね!」
自分のことを言われているとは気付いていない。
しかし、話の意図は理解している。
→次に多いのがこれでしょう。
 社長は『自分は正しい』と思い込んでいる人が多いですからね。
4.「なんで、猫のくせにネズミを知らんのですか?」
自分の事を言われているとは夢にも思っていない。
また、話の意図も理解できていない。
→論外。
三澤氏はこのどれでもない、さらに上をいく、土下座というスペシャルな反応でこれに応えたのです。
私は、「経営者は鈍感ではダメ」と教えられた気がしました。
三澤氏のこの鋭い感受性あればこそ、ミサワホームは大企業に成長したのでしょうね。