裁判員日記.2

 というわけで5900分の1の確率を突破して、栄えある裁判員に任命されてしまった友達のOさん。彼の話はまだ続きます。

抽選日から週があけ、いよいよ裁判(公判)がはじまります。 
その前に、一般的に裁判員や裁判員候補者は、公の場でその身分を公開する事は慎むように指導を受けているのですが、裁判の場で提示された証拠や証人尋問での発言は、傍聴人を受け入れている以上、完全に公開されたものになるので、そこに秘守義務は無いそうです。 

逆に、法廷以外の場で、裁判員が見聞きしたものや、評議のいきさつや内容を公開する事は禁じられております。 

ですので、今回、どんな裁判員が選出され、誰がどんな事を発言したのか、という事は絶対に他言してはならないという決まりになりますので、ご了承ください。 

では裁判の様子に戻りますが、恐らく事件によって日程は変わってくるのでしょうけど、今回は、月曜日から金曜日まで、みっちりと予定が詰まっており、基本的に休み時間以外は拘束されている状態でした。 

そんな中、初日は被害者の証人尋問が行われたのですが、これ、本当にリアルです。 

法廷には、60インチくらいのプラズマディスプレーが2つあって、傍聴人も見ることができたのですが、被害の状態(怪我の状態)が映し出されました。 
また、時間経過と共に、何があったのか、何を言われて、何をされたのか、ひとつひとつ証拠(証言)としてなりえるよう、被害者は検察官から質問を受けて答えていきます。 

恐らく、事前の打ち合わせがあったのでしょうが、これが本当にリアルなんです。 

ただ今回は、翌日に、他の被害者の方々の証言があり、同様の質問があったのですが、大筋は同じ様な返答でも、微妙にタイミングが違っていたり、常識的に考えて、理解できない事が浮かび上がったり、と、証人毎の証言の差が発生してきます。 

そして、3日目、いよいよ、被告への証人尋問があったのですが、加害者という逆の立場の証言を聞いて、今まで疑問であった事が理解できたり、逆に、相反する証言になり、どちらか一方が嘘の供述をしている可能性が出てきたりします。 

まあ、日常でもあることですが、とにかく物事を判断する時は、善悪はともかく、偏ったものではなく、双方の意見・発言を聞かないと、本当に正しい思考ができないと言う事ですね。